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コラム

新型コロナウイルス による影響は長期化‐使える助成金・給付金情報

ここがポイント‐この記事から学べること

1.長期化は必至‐新型コロナウイルス下における事業経営

長期化は必至‐新型コロナウイルス下における事業経営
緊急事態宣言が全国に発令されたことで、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて政府もようやく本気度を上げたかのようにみえます。ただその一方で、政府は、全国知事会が大型連休中に新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため国の管理する道路を規制するよう求めたことに対し、「社会経済機能への影響を最小限にとどめ、諸外国のロックダウン(都市封鎖)のような施策は実施しない」と述べるなど、政府が経済活動に重きを置いていることは、新型コロナウイルスの拡散が始まった2月初旬頃からの対応を見ていてもはっきりと分ることでしょう。経済を重視する半端な施策が、結果として経済を損なっていく様相に歯がゆい思いをされている方も多いかもしれません。
緊急事態宣言が延長されるか解除されるか否かにかかわらず、医療の逼迫と感染リスクが低減されていない以上、「自粛要請」が続くことは必至であり、経済活動の停滞が長期化することはもはや避けられない状況となっています。経営者は、こうした状況が数か月、あるいは1年と続くことを想定して緊急事態下の経営方針を策定していくことが求められます。
政府は様々な事業者向け又は個人向けの助成金・給付金等の支援を打ち出していますが、財源は有限である以上、あらゆる業種、あらゆる事業者に十分な支援を行うことは当然ながらできません。経営者としては、こうした公的支援に過度に期待してはいけませんが、使えるものはしっかりと活用したうえで、事業の存続のためのあらゆる手を尽くしていただければと思います。
行政、政治への非難を含めた「他責」の考えをもってしまうと、思考がストップしてしまいます。自らが「志」をもって経営する事業である以上、「自責」の念でこの困難に立ち向かっていただけますことを願っています。

2.事業主が使える助成金・給付金

ここでは、愛知県の事業者が活用できる助成金・給付金に関する情報をお伝えします。自治体によってはこのほかにも使える支援が用意されていることもありますので、自治体から発表される情報を随時キャッチアップいただければと思います。また、行政等による各種支援内容は経済情勢に応じて日々変動していますので、こちらはあくまで記事作成時点で把握している情報であることにご留意いただき、正確な要件及び手続等は各問い合わせ先にてご確認いただければと思います。

雇用調整助成金

従業員の雇用維持のための政府支援として最も有名な助成金が雇用調整助成金であり、多くの事業者の方がご存じかと思います。
この助成金では、企業が従業員に支払った休業手当負担額の8割から9割の金額を受給することができます。
ただし、大々的に宣伝されている雇用調整助成金ですが、令和2年4月13日時点の申請数約2万件に対し、助成金の支給が決定しているものはわずか60件(同月17日時点)との報道もなされています。要件が緩和されているとはいえ申請書類を正しく準備するハードルは依然として高く、雇用維持のために期待どおりの効果が得られるかは不透明な状況が続いています。
また、助成金を受給できるとしても、申請件数が膨大で審査に時間を要することや、休業手当を支払った後に申請するという時系列となるため、休業手当を支払ってから助成金を受給できるまでには2~3か月程度を要する見込みとなっています。そのため、売上がない中、2~3か月もの間の休業手当相当額の支払いをするだけの資金繰りの目途がつかない場合には、企業としては助成金を活用しての雇用維持施策を取りづらいのが実情です。

【問い合わせ先】 ⇒ 愛知労働局あいち雇用助成室

整理解雇と解雇回避努力義務

経営上必要とされる人員削減のための解雇が解雇権の濫用として無効(労働契約法16条)とならないためには、一般に①人員削減の必要性、②解雇回避への努力、③被解雇者選定の妥当性、④手続きの妥当性という解雇の合理性・相当性の要素を満たす必要があります。このうち、雇用調整助成金は雇用維持のために用意された公的支援である以上、その活用は企業に課せられる解雇回避努力義務の一つといえます。
もっとも、雇用調整助成金には上記に見たような問題があるため、すべての企業にとって有用な制度でないことも確かです。企業規模や労働者の職業能力等から、回避措置を企業に期待することが困難な事情が認められれば、画一的に求められる回避策とはいえないでしょう。整理解雇が有効に認められるためには、企業ごとの事情に応じて手順や方法が異なりますので、その方針の策定と実行にあたっては弁護士等の助言と支援のもとに行うことが望ましいといえます。

小学校休業等対応助成金・支援金

子どもがいる従業員又はフリーランスのための制度です。
小学校等の休校で労働者が有給休暇を取得した場合又は休業したフリーランスの方に、8330円/日又は4100円/日を上限に、賃金相当額等を助成するものです。

【問い合わせ先】 ⇒ 厚生労働省 相談コールセンター

休業要請協力金

県の要請を受けて休業する地元中小企業者に対し、1事業者あたり定額で50万円を支給するものです。協力金は、完全に休業する施設だけではなく、飲食店、居酒屋等において、営業時間の短縮によっても支給対象となります。また、理美容業界にも対象が拡大されており、愛知県理容生活衛生同業組合又は愛知県美容業生活衛生同業組合に加盟している店舗には、1事業所につき20万円の休業協力金が支給されます。

【問い合わせ先】 ⇒ 愛知県新型コロナウイルス感染症県民相談総合窓口

各種融資制度

コロナ影響下において、資金繰りのための融資にも特例措置が用意されています。

県制度融資

  1. コロナ対応資金
     限度額3000万円、利子3年間全額還付、保証料全額~半額免除
  2. 緊急つなぎ資金
     限度額5000万円、利率1.2%、保証料なし
  3. 経営あんしん
     限度額8000万円、利率1.2%~1.4%、保証料0.4~1.83%
  4. セーフティネット4号・5号
     限度額8000万円、利率1.1%~1.5%、保証料0.67~0.79%

【問い合わせ先】 ⇒ 取扱金融機関又は愛知県信用保証協会総合相談窓口

無利子・無担保融資

新型コロナウイルス感染症特別貸付 限度額6000万円

【問い合わせ先】 ⇒ 最寄りの日本政策金融公庫

マル経融資の金利引き下げ

当初3年間金利を0.9%引き下げ

【問い合わせ先】 ⇒ 最寄りの日本政策金融公庫

持続化給付金

新型コロナウイルスによる影響で売り上げが半減した事業者への給付金です。中小企業は200万円、個人事業主は100万円を上限として給付を受けることが可能です。

【問い合わせ先】 ⇒ 中小企業庁 金融・給付金相談窓口

弁護士 古山雅則

この記事を書いた執筆者:弁護士 古山雅則

岐阜県出身。中央大学法科大学院卒業。経営者側に立った経営労務に特化し、現在扱う業務のほとんどが労働法分野を中心とした企業に対する法律顧問業務で占められている。分野を経営労務と中小企業法務に絞り、業務を集中特化することで培われたノウハウ・経験知に基づく法務の力で多くの企業の皆様の成長・発展に寄与する。

2020.04.27 | コラム

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